ムジカのぶろぐ。By @ryoushitsu

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職人が作ったジオラマの世界を冒険。FF生みの親・坂口博信の新作RPG「FANTASIAN」がすごすぎる



RPGとはなにか。を再定義できるか。

とある記事で(いや?誰かの動画だったか?)ファイナルファンタジー16に求められているものは、なにか?という議論があった。それは端的に言えば、16はファイナルファンタジーシリーズの中で名作を競うのではもう古く、JRPG、ひいてはRPGを再定義できるか?という大命題にあるという。それは、ファイナルファンタジーが目指してきた高クオリティな映像美を維持しながらも、高水準なゲームを作るというかなりの高難易度に挑戦することとなっている。高い芸術性と技術力を維持しながらも、セールスとして、ビジネスとしても成功しなくてはならない。それは相反する2つの属性を同時にクリアせよという無理難題であり、例えるなら、アクション好きを唸らせつつ、アクション苦手なユーザーにも配慮というバランス感覚だし、光と闇、水と油というぶつかり合う属性を同時に満たす魔法でしか成しえないほどのミラクルであるように思う。常々、1ファンであるところのわたしも、高画質HDゲームとしてのファイナルファンタジーは、RPGとしての魅力の中心にあるストーリーを追求する時間が足らないのではないか?という疑問を持つ。ファミコン時代ならむしろ映像美がそこそこなだけに、ストーリーを拘ることで成り立たせてしまえた。映像美に限界があることで、逆に音楽を追求できたり、ストーリーを凝ったものにしたりできたわけだ。しかし、いま。ファイナルファンタジーが担うものは、高画質HDゲームとしてのそれである。そこに凄まじいコストが掛けられ、それまで凝った作りでファンを唸らせたバトルシステムや、ストーリーについてはなぜか後回しとなった印象すらある。それについては、ファイナルファンタジー12、13、15に辿る、計画変更といういわばスクウェア・エニックスお家芸とも言うべき負の伝統が雄弁に物語っている。ファイナルファンタジー12は別のゲームを12に昇華させたゲームである。13は高画質とストーリーの奥深さに主眼を起きすぎた結果、RPG性はかなりの部分で犠牲となった。バトルシステムは秀逸だっただけに残念ではある。そう考えれば、次の要素が面白いゲームに必要な条件となるのではないだろうか。「映像美」「ストーリー」「バトルシステム」「RPGとしての魅力」。この4つだ。13は、この4つのうち、最後の「RPGとしての魅力」が欠けてしまった。そういう意味でいえば、12は全て揃っているにも関わらずセールス的に決して成功とは言えない結果となってしまっている(いま再評価されてるけどね)。私個人的にはかなり好きなファイナルファンタジーだ。まあ、ややキャラクターが海外ドラマっぽくて当時は馴染みがなかったのが要因かな。そして我らが故郷のファイナルファンタジー14はどうだろう。個人的には4つのうち「映像美」が欠けていると感じなくはない。だが、それはMMORPGだから、ランニングコストを調整する必要があるジャンルだからと言えばそれまでだけれど。そこはよしPもいつもコスト、コストと言っている。つまり、そういう事なのだ。全てを網羅しても売れない。かと言ってどれがひとつは諦めなければならない。それならばと、ファイナルファンタジーの代名詞である「映像美」をかなぐり捨てた英断は素晴らしいと思う。いや?綺麗じゃないとは言ってないよ?ファイナルファンタジー15のように、無駄な描写をしなかったおかげで、ストーリーやバトルシステム、RPGとしての魅力に全ステータスを振れたと思えば納得である。では15はどうか。4つのうち、3つが欠けてしまった。それは「ストーリー」と「RPGとしての魅力」「バトルシステム」だ。その代わりに「映像美(音楽)」は際立っている。前置きが長くなってしまった。ファイナルファンタジーの生みの親、坂口氏が放つ、新作「ファンタジアン」である。定額サブスクリプションサービス「Apple arcade」専用タイトルとして開発された新作RPGだ。わたしはミストウォーカー社のゲームをプレイしたことがない。きっと面白いものもあるだろうが任天堂のハードはスーパーファミコンで止まっていたのでやろうにもやれなかったのが正直なところだ。最近、ようやくNintendoSwitchを手に入れることができたのだけれど。そんなわたしにとって、「Applearcade」は魅力的である。Apple製品を持っていればプレイできる。月額600円程度を払えばいい。そうして、坂口氏の最新RPGをプレイできるのだからそんな嬉しいことは無い。しかも、音楽は私の愛してやまない、植松伸夫先生。これはプレイしなくては死ねないタイトルである。やる。わたしは絶対にこれはやると決めた。坂口氏はこの記事の中で大きくわけてふたつ印象的な言葉を残している。ひとつは、映像にこだわったこと。リアリティを追求するのではなく、ジオラマをゲーム内に取り込んで、手触りを追求した。例えるなら、NintendoSwitchの、ヨッシーアイランドみたいな感じか。あれはダンボールのような、厚紙のような世界観である。そしてもうひとつは、シンプルなランダムエンカウント&ターン制バトルシステムではあるものの、細かな改善点を追加した点だ。それはまるっと一から作り上げたバトルシステムではない。目新しさを捨てたかわりに、スマホタブレットでプレイすることを想定した直感操作。そして、敵をある空間に集めて纏めて敵を倒せるという、聞いただけでワクワクするような夢のシステム。新しいシステムを高水準で組み上げるのではなく、従来のシステムを踏襲する潔さと、そこにありそうでなかった手触りを加える玄人志向の職人芸。それらが上手にミックスされているのだとしたら。それはまさに、ファイナルファンタジーが担ってきた、新しいゲーム体験に挑戦することになる。先程の4つで言えば「映像美」「ストーリー」「バトルシステム」「RPGとしての魅力」。この4つにさらに「新しいゲーム体験」を追加した形になる。これこそが、RPGとはなにか。を再定義する事にならないだろうか。ファイナルファンタジーが忘れてしまった5つ目の要素を体現しているのなら。わたしは大いに期待をしてしまう。名前こそ「ファンタジアン」と、似てるような類似品のような名前ではあるが、これこそが、ファミコンファイナルファンタジーを現代風に蘇らせた作品となりうるのではないか、と。ブレイブリーデフォルトはやや子供向けになっていていまいち興味がそそられないわたし。オクトパストラベラーも魅力的だがNintendoSwitchでRPGをやりたくない。そんなわたしの我儘に(ごめんなさい。でも本音だよ)しっかり応える作品になっていることを期待したい。

 

それじゃぁまたね(了)