ムジカのぶろぐ。By @ryoushitsu

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シティポップの世界的ブームの背景 かれらの日本という国への目線 - インタビュー : Kompass(コンパス) ミュージックガイドマガジン by Spotify&CINRA



シティポッブはあの頃の恋心だ。

わたしは音楽の中で好きなジャンルをふたつ上げよ、と言われれば、間違いなく上げるものに、渋谷系とシティポッブがある。その2つがどこかで交わっていていることに気づいた時はかなり興奮を隠せなかった。あれは、確かピチカート・ファイヴを聞いていくうちに昭和の音源に向かっていく中で気づいて言った事実だった。強いて言うなら、フリッパーズ・ギターからは主にイギリスやフランスなどの良質ポップを知り、ピチカート・ファイヴからは日本の和物を再発見するきっかけとなった。そしてオリジナル・ラブもまたその片鱗を感じさせた。そこから、はっぴいえんど山下達郎竹内まりや杉山清貴などに触れて言った。その頃私はサニーデイ・サービスが流行っていた頃だったのですんなりと入り込めたように思う。その頃感じていたのはまさに、のちの「レアグルーヴ」だった。私だけが理解出来るレアなグルーヴ。レアな魅力。レアな音源、ではない。有名な曲だ。しかしそこの中に魅力を見いだしてその良さを噛み締めることの出来る感性を追求していくそのさまはまさに自分探しそのものであった。あの頃の私は「なぜ他人がいいと呼ぶものをわたしは良いと思えないのか」という疑問にひどく囚われていた。メインストリームを否定する気持ちもなくはなかったけれど、それよりも深い世界がここにはあるのに、なぜ浅い世界で満足しないといけないのか?という疑問だ。子供用プールで遊べと言われているような物足りなさがメインストリームのサウンドにはあったし、私の好きな渋谷系やシティポッブと呼ばれる分野にはわたしの好奇心を刺激する訳の分からないディープな世界が広がっていた。まさにそれはわたしが愛してやまないエオルゼアの世界に終わりがないこととと似ている。エオルゼアで出会うレアグルーヴを求めてわたしは今日もエオルゼアを旅するのだ。それは言い換えればかつての渋谷系やシティポッブに求めていた刺激と同じものである。知らないからこそ知りたい。知らないからこそ興奮する。そんな相反するようなミステリアスな世界が、渋谷系やシティポッブにはあるのだ。あれから数十年。ダフト・パンクらに見出された80年代風のサウンドはいつしか和物レアグルーヴを発見した。それがこの記事にあるようなプラスチックラブなどである。そこには高度成長期に湧く日本の特有の高揚感、ゴージャス感があり、その中にはヨーロッパやアメリカへの強いあこがれがある。それが滲んでいるので、海外の人達は満足するのだ。つまり、「かつての我々の文化は優れていたのだ」と。それを懐かしむ思う気持ち。自分たちの文化がを認めたい気持ちと、レアグルーヴならではのミステリアスな魅力が合わさってリバイバルをしたのだとわたしは理解している。そこに日本のアニメが加わっている。日本の80年台のアニメの主題歌のクオリティにノックアウトされるのだ。シティハンターときめきトゥナイト、……枚挙に遑がない。私もまさにその年代のアニメにノスタルジーを禁じ得ないひとりだ。だからこそ海外の人達が和物レアグルーヴに高揚感を感じる気持ちは痛いほどわかる。分かりすぎる。だからこそ心の乾きを潤わせてくれるオリエンタルな響きがそこにあるのだ。それは欧米の輝かしいあの頃の文化の反響音のような遺産である。日本人の感性がすごいとか、日本の和物が世界一だなどおは決して言うまい。強いて言うならコレクター気質の恐ろしさだろう。つまり、オタク文化である。日本に素晴らしい所があるとすればまさにこの部分にこそある。シティポッブがリバイバルされる度に、わたしはせつない気持ちになる。あの頃は楽しかった……そんなふうに懐古趣味に浸りたい自分がいるのとも認めよう。だが、過去の話に浸って楽しい時間を過ごしたところで、明るい未来が来る訳では無い。どんなに辛くとも、どんなに乾いていようと、殺伐とした未来を見つめる中でこそ、わたしは次の世界を渡っていけると信じている。そんな戦いの日々に疲れた時。私の心を癒してくれるオンガク。それこそが、和物レアグルーヴの役目なのだ。もう一度言う。渋谷系とシティポッブは和物レアグルーヴの宝庫であり、世界が忘れてしまった愛に溢れたあの頃の記憶の外部記憶装置だ。

 

それじゃぁまたね(了)


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