斜めにだって歩けます―ついに発売『FF』ピクセルリマスター!その実態に迫るとくれせんたぼーび【特集】 | Game*Spark - 国内・海外ゲーム情報サイト
ピクセルリマスターという新ジャンル。しかし
ついにファイナルファンタジーの過去作をドットで再現した「ファイナルファンタジーピクセルリマスター」が各種アプリサイトから発売された。発売されたのだが、どうも買う気になれないのはわたしだけだろうか。ファイナルファンタジーの初期の作品は好きだ。特にファミコン時代のファイナルファンタジーは神と言っていい。素晴らしい作品群だ。システムが完璧で、ストーリーもばっちり。そして音楽も見事だ。それを、ドットで味付けを統一してリメイクするというプロジェクトである。この事についてファンとして真面目に検討したい。まずはそのピクセルリマスターというコンセプトの是非についてだ。ピクセルリマスターとは何か。ファミコン当時の世界観を残しつつ、ドットで再現され世界観という認識であっているだろうか。おそらく間違いはないだろう。まずこのドットで再現された、という点だが、はっきり言って何が違うのか説明に苦しい。過去のリメイク作もドットだったからだ。特に1と2はそうだろう。3を3Dリメイクと呼ぶらしいが、まあそれはよい。ファミコン時代のファイナルファンタジーをなぜ再度作り直す必要があったのか?少なくとも1、2にはその必要はなかったはずである。強いて言うなら5、6も要らないだろう。3、4はその意義は大きいことは分かる。あのリメイクはたしかに微妙だった。オープニングムービーを追加したという点だけしか利点がなかった(辛口すみません)。ファミコン時代のファイナルファンタジーをDSでプレイできるという点にメリットが集中していたといっていいくらいである。そして今回はファイナルファンタジー3が買いという風潮がある。確かにそうなのだが、私達当時のファンからすると、あらためてファイナルファンタジー3をプレイする理由はなんだろう?当時のプレイフィールを求めて、だろうか。当時の空気感に浸りたいユーザは少なくない。なぜなら最新のゲームはあまりにも美麗で、そして操作が難解だからである。つまり当時のファンのある一定数は最新のファイナルファンタジーについて行くだけのスキルを持ち合わせていない。それが7リメイクのときに盛んに言われていた問題だ。クラッシックモードと呼ばれるそれはやはり往年のユーザが操作に難色を示していることを如実に表している。そういう意味では、このピクセルリマスターは必然のように見える。少なくとも過去の作品に触れてきたライトユーザーには響きそうである。最近のゲームはよくわからない。ソシャゲもなんだかハマらないという中高年には打って付けだろう。事実、それなりには売れているようだ。そして、海外のプレーヤーにもその魅力を再発見させることにも、ある一定の成功を収めている。ならばなにがわたしは不満なのか? 端的に言えば、当時の空気感を大切にするならば、やって欲しくないことがあるからである。それは大きくわけて3つある。まず1つ目、これはわりと許容できることではあるのだが、それは音楽のリマスターである。当時の音源をそのまま使ってくれなければ意味が無いのだ。あのえ8bitサウンドを再現してもらわなければ、ノスタルジーに浸ることは難しい。そして2つ目。これは感覚的な話になるのだが、今回のピクセルリマスターは、ドットが売りとなっているが、当時のドットをそのまま使っていない。ドットすら現代風にリマスターしている。それが……嫌なのだ。本家による正式なリマスターにも関わらず、なぜか漂う偽物感。リマスターされた画面から感じられるのはコレジャナイ感であった……。やれば楽しいと思いたい……。そして最後の3つ目。これが一番許せないのだが、魔法や敵ビジュアル、そして各種エフェクトを現代風にアレンジしているところだ。そんなことで?と思われるかもしれない。だが、思い出してほしい。このゲームのメインターゲットは誰か?当時の思い出に浸りたいユーザではなかったか。そうなると現代風アレンジは余計である。蛇足と言っていい。そんなもの、誰も求めていないのである。ただし、これがノスタルジーを喚起させることを目的にしたゲームデザインでないとしたらどうだろう。つまり、ノスタルジーに浸りたい層をメインターゲットにしていないという可能性である。それは何か?それこそが、海外ユーザである。7リメイクで改めてファイナルファンタジーに注目があつまるなか、次の続編もまだまだ先。頼みのFF16は早くても来年の冬だ。そんな中、あらためて過去作に触れてもらおうという場繋ぎ的なコンテンツだとしたら?つまり、ファイナルファンタジーは知っていたけどファミコン時代のソフトは触れたことがないという層である。それは?主にファイナルファンタジー7で初めてファイナルファンタジーに触れた海外勢である。そう考えるとツジツマが合う。つまり、そういうことなのだ。メインターゲットは海外勢。日本の往年のファンはメインターゲットではない。過去作のリメイクに興味ある人はどうぞというスタンスである。悲しいが、このリマスターは私たち往年のファンに100%向いていない。本当に。それは、ある意味で悲しいことだが。そろそろ結論。わたしはファイナルファンタジー3が好きだ。5も最高だったが、やはり3は別格と言っていい。だからこそ、今回のリマスターにどのように向き合うべきか真剣に考えたわけだが、残念ながら現時点でわたしとリマスターとの接点を見出すことは難しいと言わざるを得ない。もしかすると、その往年のファンに100%向き合っているのは数あるファイナルファンタジー作品の中で、ファイナルファンタジー14だけかもしれない。過去作へのオマージュ、BGMの効果的な再利用。キャラクターの再登場。これらは全て過去を知る往年のユーザ(私たち)に向いている。だからこそ、今回のピクセルリマスターにわたしは心の底から期待することは叶わないのである。あなたはどう思う?
それじゃあまたね(´▽`)ノ(了)