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鳥嶋和彦『ドラゴンクエスト』と『ファイナルファンタジー』と少年ジャンプを語る

"鳥嶋和彦ドラゴンクエスト』と『ファイナルファンタジー』と少年ジャンプを語る"

 

世界に誇る日本の良コンテンツの根源はすべて週間少年ジャンプから始まった。

    わたしも小さい頃を思い出すと、あの頃のジャンプが見せる世界にすべてがあった。ワクワクする気持ち。冒険心。好きな子に対する恋心。その全てが週間少年ジャンプに詰まっていた。

 

    それは今も変わらない。それ程までに日本の、漫画作りに、込められた魂の込め方ような作り方の根本的な要素の固め方そのものが、週刊少年ジャンプには、あった。あれは僕らにとって当たり前だったし、少しも疑うことはなかった。それは今で言えば、ほぼ同時代に任天堂ファミリーコンピュータを生み出したことに近いかもしれないし、2007年頃にAppleiPhoneを生み出したときのあの感じに近い。それらの企業が見せてくれる新しい世界に似ていた。もしかすると、スタジオジブリが生み出す新作映画がくれる冒険活劇「も」そうだった。つまり、あの頃の少年(たぶん少女も)の心に火をつけるだけのマグマのようなパワーが秘められていた。あのころのパワーはそのまま漫画からアニメに引き継がれ、そのまま、お笑いブームへと繋がってゆく。つまり日本が誇るすべての良コンテンツはすべて週間少年ジャンプから始まったのだ。

 

    週刊少年ジャンプが生み出したうねりは、なにもそれだけではなかったらしい。この記事を見ると、ゲームですらそうだと言うのだ。今世界中で魅力的だと評価されるジャンル「JRPG」そのものが、週間少年ジャンプから生み出されたというのだから。確かに私自身も週間少年ジャンプでゲームの記事をワクワクしながら見ていた世代だ。今思えば、今も人気を誇る、桃太郎電鉄もまた、週間少年ジャンプから生み出されたキラーコンテンツである。あの頃のジャンプ放送局の空気そのまま表現された世界観。それが桃太郎電鉄である。

 

   つまり、ハドソンだ。桃太郎伝説から始まったJRPGの本流は、桃太郎電鉄という形に昇華した。また一方で、天外魔境などの亜種もある。それがまた週刊少年ジャンプとどういう関係にあるかは私は知らない。けれども、何か脈々と続く熱い「何か」がそこには流れている。多分、サクラ大戦もまたそうだろう。まぁクリエイターが同じだから当然、かもしれないが。

 

    この記事は主に名作「クロノ・トリガー」について語られている。もちろんあれは名作だ。いや、ドラゴンクエストファイナルファンタジーを混ぜた、いいとこ取りの作品である。傑作にならない訳がない。そのふたつの作品を結びつけた存在が、Vジャンプ編集長であるというのはあまりにも出来すぎた話ではないか。もしかすると、エニックスと、スクウェアを結びつけたきっかけすら、この方が絡んでいるのかもしれないと思わされる。それほどまでに、今の日本の良コンテンツを生み出した、週刊少年ジャンプというコンテンツの坩堝は今も尚、輝かしい。最近の作品で、鬼滅の刃や呪術廻戦を例に出さなくても、この辺の凄さは今も変わらないことは説明する必要がない。

 

    漫画、アニメ、ゲーム。それらのコアに位置する「週刊少年ジャンプ」。ひろゆき氏も言っていたが、ゲームが面白いから売れたということではなく、みんなが知っているということが売れるコンテンツの必須要素である。それを可能にしたのがまさに週刊少年ジャンプであった。今で言うと、YouTubeや、Twitterに当たるメディアくらいに強烈な存在。それが週刊少年ジャンプであった。

 

    いまも週刊少年ジャンプは凄い。まだまだ衰えてはいない。しかし、みんなが知っているという条件を満たせなくなっているのも事実だ。つまり、ジャンプではなく、アニメから拡がっていくという事実。Netflixや、Amazonプライムなどの動画配信サービスがそれを担っている事実は否定できない。週刊少年ジャンプはその原作を掲載しているというだけだ。アナログな紙媒体である。

 

    しかし、わたしはそれだからこそあの熱量を込められたと思っている。それはウェブ媒体や、アプリではなし得ない。それは今も変わらない普遍性がある。そこを週刊少年ジャンプが握っている限り、これからも週刊少年ジャンプは不滅だ。いくらアニメやアプリや、スマホがメインになったとしても、それらに勝てない要素が、アナログな紙媒体に詰まっている。それは魂とか、奇跡とか、ロマンと呼ばれるそれである。

 

   ドラゴンクエストはオワコンだとか、ファイナルファンタジーはいつから面白くなくなったのかとか言う人がいる。確かにあの頃の熱量はない。それはクリエイターが衰えたわけではない。なぜなら、いま、私たちには吉田直樹がいる。ドラゴンクエストも、ファイナルファンタジーも知っている。もしかすると、ハドソン時代に、桃太郎伝説桃太郎電鉄も知っているかもしれない。さすがに天外魔境は関わってはいないだろうけど。

 

   彼がなぜ、ファイナルファンタジーをこれほどまでに盛り上げさせるのか。その周りの人達を熱くできるのか。それはもしかすると、ドラゴンクエストファイナルファンタジー、そして、週刊少年ジャンプから脈々と続く熱い「何か」を彼が感じ取っているからだからではないだろうか。自覚しているか、無自覚かはわからなくとも、彼は感じているに違いない。新しい世界を見せてくれるほどに力のあるクリエイターではない。それは彼自身もそう言っている。もはや全くのオリジナルは不可能なのだ。予算が足らない。時間が足らない。ビジネスにならない。だからこそ。今できることは、過去に散らばる数々の宝物を集めて、再編集できるスキル。すなわち、過去のゲームの集大成を作ることであり、過去のゲームのテーマパークを生み出すことのはずだ。彼はできる。吉田直樹に出来なければ、もう誰も出来はしないのだ。

 

それじゃぁまたね(了)


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