フェイスブック、マイクロソフト、アクセンチュア…「メタバース」ブームは本物か | News&Analysis | ダイヤモンド・オンライン

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メタバースが作る未来は、メタバースの革新性に由来しない。

    どういうことか。メタバースの目新しさは、メタバースが作り出す仮想世界が優れていることに由来しない。メタバース自体が革新性に満ちているというより、ブロックチェーンから始まる暗号資産の圧倒的な不正利用防止システムの完璧さや、NFTなどの、非互替型のネット資産の実現にある。つまり、ブロックチェーンがあることで、ネット世界における資産に唯一無二性が生まれ、その先に仮想空間での土地や、生活スタイルのそのものの唯一無二性や、ネットで取引される資産および価値がコピーされない（つまり非互替）仮想世界が、もはや現実と同じであるという革新性にその本質があると考えるべきだろう。

   つまり、いかにリアルな仮想世界を作りあげたところで、そこで価値や資産の取引が生まれなければ無意味だ。リアルの模倣であればゲームの中でお金持ちになってもリアルでは1円も稼げない世界で終わる。それでは、子どもの遊びと言われてしまい、その後の発展も見込めないだろう。何度も言うが、リアルで行っている資産と価値の取引を行うことができればいいわけだ。分かりやすくいえば、メタバースで得たお金を、暗号資産に換金出来ればいいのである。それは、メタバースが作ったシステムではない。ブロックチェーンが作り上げた世界だ。すなわち、暗号資産と、NFTである。

   それらのテクノロジーの進化によってついに人類は資産と価値を目に見えないものに置き換えることに成功した。厳密に言えば、ドルと金の互換性を無くした金本位制を停止した時から、わたしたち人類は、信用創造という目に見えないものを現金化してきたのである。その信用創造は中央銀行によって独占された権利だったのだが、それが今や、ブロックチェーンの普及により、一般の誰でもが作り出すことの出来る錬金術となった。

  お金がお金を産み、富がさらに大きな富を産む。その言葉通りに暗号資産は莫大に膨れ上がった。そして、更なる売買の投資先を求めたのだ。それが、メタバースの仮想世界である。目に見えないお金を取引することに慣れた人達が次に目をつけたのがアートであるNFT。そして、その次に目にしたものが土地だ。それも、仮想空間における土地である。無限に広がる仮想空間ではあるが、人気者が所有する土地の周りは高騰する。逆に人気の土地から遠く、僻地であれば相対的に安価である。このように、現実にはない土地を、あるものとして売買することを人類は発明したのだ。その仮想世界の土地こそが、このメタバース関連における新しい投資先なのである。

   しかしいくらネットの中のデータに所有権を証明できるようになったと言ってもそんなに話は簡単ではない。証明されたデータがそもそもコピーだった場合の保証などないし、誰かに盗まれたとしても、それを取り返せる保証もない。ましてや、高額なデータであったところで、損害保険も無ければ、裁判にかけて損害賠償を請求することも難しいだろう。まだこの分野に法律が追いついていないからだ。 

   よく分からないものに手を出すと詐欺に引っかかるから辞めた方がいい。それは半分正解で半分は誤りなのかもしれない。よくわからないもの（今回はメタバース）をよくわからないままに買うから騙されるのであって、よく調べて納得した上でこれを購入または運用する分にはなんら問題はないのかもしれない。もちろん大きなリスクは伴うだろうが。しかし少なくともやらない方がいいと言う判断ではない。分からないなら、という条件が付いているだけだ。

   いずれにせよ、世界は確実に変わっていくだろう。日本だけが世界から取り残されてしまってはいるが、江戸時代のように鎖国を続けている訳では無い以上、変化に対応せざるを得ないだろう。このブロックチェーンの技術がそうであるように、1度普及すればこの技術は当たり前となる日が来るだろう。その時にはこれがブロックチェーンという技術で成り立っているのだなどど、誰も考えはしないのだ。

それじゃあまたね（了）