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山下達郎は違っても…ベテランアーティストがサブスク解禁する裏事情──音楽業界の現在地|日刊サイゾー



音楽だって、ビジネスに変わりはない。

 

   ビジネスとして考えたら、音楽をリスナーのニーズに応えることは最低限必要な努力ではないだろうか。アーティストは自己の表現や利益にこだわるばかりで、人目に触れる機会を減らすような事があるとそれは単に機会損失に繋がるはずである。山下達郎氏が音質にこだわっている事は昔から有名だ。彼は天才的なシンガーソングライターであると同時に、天才的な(変態的な)オーディオマニア、スピーカーマニアであることは有名である。また、彼の言い分の中にある、音楽に関わりのない人達の利益になってしまうという理屈も分からない訳では無いが、今のあらゆるネットインフラを使わないで暮らしていけるほど世の中は単純ではなくなってしまっていることもまた事実である。音楽に関わりのない人達にお金を渡したくないと言うのは、高速道路を走っている人が高速料金を払いたくないと言っていることと同じではないだろうか。それなら高速道路を使わない!という考え方もあるだろうが、それでは近代的な生活を全て捨てて、原始時代に逆行するようなものなのである。

 

    現に彼のプロデュースした竹内まりや氏の過去の曲はサルベージされ、リブートされる形で世に広まってしまった。その利益すら、違法的に取られていると言うのであれば、その違法的に取られた莫大な金額は主に海外にたれ流され続けるだろう。それは音楽家たちがかつて頭を悩ましていた、コピーCDとの戦いを思わせる。コピーコントロールCDと銘打った音源は、パソコンユーザーからは大層嫌がられ、仮に違法アップロードをしないとしても、リスナーの利便性を大幅に制限するものであった。CDメディアは半ばなし崩し的にコピーされ、ネット上に溢れかえった。そのことが、彼ら音楽家たちの利益を凄まじい勢いで損なっていったことはもはや言うまでもない。それは音楽だけでなく、映像作品にまで広がり、あらゆる表現はデジタルデータとされて限りなく無料に近づいていった。それは今のインターネットインフラに乗れなかった日本の現実をそのま表している。

 

   あれから数十年。平成の終わりと共にそれらの戦争は終わり、残ったのは枯れ果てた荒地だった。もはや音楽で利益を上げるビジネスは風前の灯であっただろう。しかし、そんなときひとつの救世主が現れたと私は記憶している。音楽を窮地から救ったのは誰か(何か)。それこそが、Appleであり、Spotifyである。そして、それらが推し進めたサブスクリプションサービスであった。

 

    それらは確かにユーザーライクなビジネスモデルだった。そのおかげで瞬く間に世界中を席巻した。特に無料で視聴できるSpotifyの勢いは凄まじく、音楽を限りなく身近なものに変貌させた。その分、1曲の利益は薄められ、限りなく無料に近いものになった。だが、薄利多売の精神によって世界からジャンルや言語、国の壁は完全に取り払われたと言っていい。世界中の人が日本の音楽を聞き、日本の音楽の再評価に繋がって言ったのである。そのもっとも恩恵を得た作品は何か。竹内まりや氏の「プラスチックラブ」であり、そのプロデュースをした山下達郎氏その人なのである。

 

     昨今のCITYPOPの人気をもたらした理由のひとつに、山下達郎氏と彼の作る美しい楽曲があることは疑いようのない事実だ。もちろん、彼以外の名曲もその拍車をかけるに機能した。だが、山下達郎氏以外の作品は早々にサブスクリプションサービスに登場したことに対して、山下達郎氏の作品はいまだ存在しない。その予定もない。求められている時にその求めに応じないのは、不義理なのか。それとも、アーティストとしての矜恃として褒められることか。それは日本人が過去に何度も経験してきたジレンマである。だからといって、過去に習い、矜恃を固辞することばかりがその答えではない。例えそれを反故にしたとして不利益を被る結果となるなら、それは固辞する事が正解だったという回答を得られるだろう。それを試さない限り、それが成功なのか失策なのか、それすらも分からない現実は変わらないままである。それならば固辞を翻すことがあってもわたしは彼を卑怯者と笑わないだろう。むしろ、よくぞ英断をしたと拍手喝采を送るはずである。

 

それじゃぁまたね*˙︶˙*)ノ"


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