日米の株価が「底値圏」に達したと言えるワケ | 市場観測 | 東洋経済オンライン | 経済ニュースの新基準
人は理由を求めたがる。
しかし理由など何でも良かった。
事実はいつだって普遍的である。
✱
今日ピックアップした記事は
こちら。その冒頭から。
世界的な株価下落の本質的な要因は「ブラックスワン」(具体的には新型コロナウイルスの流行)ではなく、日米の株価が高値にあった時に「それは織り込み済みだ」と多くの投資家が軽視していた「灰色のサイ」が暴れだしたことによるものだ、と分析した
株を始めたわたしにとって
不思議で仕方なかったのは、
なぜ景気が後退している中で
日米の株価だけが強気なのか?
であった。 しかしその疑問は
的を射ていたのだと思う。
それは異常な状況だったのだ。
灰色のサイとは、具体的には次の2つだと解説した。
1)アメリカの景気や企業収益が低迷しているにもかかわらず、過度の楽観から同国の株価が上昇し過ぎて、極めて割高な状況にあった。
2)新型肺炎が流行する前から、日本経済や日本企業の収益が、悪化基調を鮮明にしていた。(中略)
1)に基づけば、アメリカの株価の割高さが解消されれば、株価下落は終わることになる。割高かどうかを判断する基本的な指標は、PER(株価収益率、株価÷1株当たり利益)だ。
そこで、S&P500指数ベースの予想PER(1株当たり利益は12カ月先までのアナリストの予想値を米ファクトセット社が集計したもの、週平均値)を見てみよう。すると、今年2月21日(金)の時点では19.0倍と、通常S&PのPERが推移するレンジである15~17倍の上限を、大きく超えていた。
PERは割高であることを示していた。
つまりアメリカ株があまりにも高騰し
そのことに気づいてはいたが
湧き上がる株価高騰に人々の感覚は
いわば麻痺していたということだろう。
それが下落傾向にあるということは
いよいよPERが正常値に向かったという
ただそれだけの事とするのも
なるほど理解出来る真っ当な理由となる。
2018年1月の局面で、なぜ割高になったかを振り返ると、2016年11月の大統領選挙でドナルド・トランプ氏が当選し、トランプ政権の経済政策に対する期待が行き過ぎて、1年強もの間、株価の上昇基調が進み過ぎたからだ。
そのため、2018年2月からアメリカの株価は調整局面入りした。今回も同様に、今年2月の終わり頃から米株が下落を始めたのは、極めて自然なことだった(新型肺炎が流行しようとすまいと、アメリカの株価は下落局面に突入して不思議がなかった)と言える。
自浄作用ともいうべき株価下落。価値が下がってしまったというよりは、高騰した価値が本来の価値に戻った際の下げ幅が今回の株価下落であったという認識のほうがいささか正しく思えてくる。
PBRが1倍を割り込むことはおかしい。しかし現実には、2009年初のリーマンショック後の局面や、2012年の欧州財政懸念時には、長い間、市場全体で1倍を割れて推移していた。当時の最低値は、2009年で0.81倍、2012年で0.87倍だ。
3月13日(金)の日経平均株価の終値は1万7431円で、PBR(加重平均ベース、日本経済新聞社による算出値)は0.84倍なので、リーマンショック時並みの0.81倍まで低下するという前提では、日経平均株価は1万7431÷0.84×0.81=約1万6800円となる。これは同日のザラ場最安値1万6691円に近い。この点から、日本の株価も、十分に下落を遂げたと考えられる。
下げ止まりはいつ来るのか?そんな予測はもはやあまり意味をなさないだろう。理論上はすでに十分な下げ幅を見せたからだ。だからと言ってこれから上がるかと言うと、話はそんなに単純ではないのである。そこに投資家たちの思惑が絡むからだ。あるいは価格に基づく機械的な売買が刹那的に繰り返されているという意味で。
今後もしばらくは、株価の上下動(上にも下にも)は極めて大きいままだろう。投資家心理は落ち着いておらず、株価の方向感や水準感を失った向きも多いと推察される。多くの投資家が様子見を続けるなか、一部「人間の」投資家の投げ売りやツッコミ買い、「人間ではない」投資家(アルゴリズム取引など、システム売買)の売りや買いが嵩んで、さしたる材料もなく株価指数が上下に跳びまわることが、これからも頻繁に起こると懸念される。
だからこその乱高下。
買い注文は上振れて
売り注文は下振れる。
買った途端に値段は上がり
売ろうとしても価格は下げ止まらない。
これではキャピタルゲインなど
期待できるはずもなく
株初心者は大幅な損切りを頻発する。
あ、それ、わたしのことですけどね。
最後に筆者はこう投げかける。
用取引やレバレッジをかけたCFD取引などは、買いも売りも勧めない。現物株や株式ファンドを、コツコツと買う投資姿勢を勧める。積み立て投資を中心としている投資家は、別に何も変わったことをする必要はない。最も重要なのは、最安値で投げ売りすることだけは避けることだ。
なお、こうした投資姿勢を勧めるのは、あくまでも筆者自身の考えに過ぎない。もし読者が「短期的な荒れ相場で、レバレッジをかけた取引手法によって、思いっきり儲けてやろう」と考えるのであれば、お好きなようになさればよい。
正論だ。ぐうの音も出ないほどの。
基本ともゆうべき投資姿勢を
維持できるかどうか?
積み立て投資をすることの安全性や
長期で見た際の利益率の高さは
すでに立証済の事実なのである。
乱高下(主に下が顕著)のなかでは
損切りをするがあまりの投げ売りを
するべきでは無い。
ドルコスト平均法を引用するまでもなく
コツコツやるだけなのだ。
それは精神力を求められるだろうし
資金力も必要だろう。
要は株に手を出す人は
それだけ求められることも多いのだ。
ここに簡単ではない株取引の真理を
見た気持ちではあるのだが。
最後に株取引における鉄則を再確認したい。
「投資において最大の敵は、相場の急変動ではなく、自身の強欲だ」
損を取り戻そう。
大きく儲けてやろう。
そんなことができるのであれば
すでに株取引で全員が大金持ちになっていないとおかしい。なにしろ、つい最近まで異常に株は高まり続けていたのだから。
それじゃあ、またね(了)