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吉田直樹氏が「FFXIV」やMMORPGを語る。ゲーム業界のドキュメンタリー映像シリーズ「Archipel Caravan」の最新動画が公開



吉田氏が語ったのはFF14だけの話ではない。ゲームが抱える問題と、そして未来だ。

 

吉田直樹さん。わたしたちは尊敬の念を込つつ愛情表現として、よしPと呼んだりする。彼の凄さはどこにあるのだろう。彼の凄さと言うとなんだか違う気もする。それは、彼が類まれな努力家で、あらゆる問題を言語化できるスキルを持ち、そして相反する2つの意見をそれぞれに聞き入れながら、その上でみなが納得できるジャッジができる男であることと関係する。すごい人。それは時として天才とか、神の子とか、○○の先駆者、プロなどと呼ばれ、周りの人から尊敬の眼差しを浴びる存在だ。確かに吉田直樹さんはすごい人である。だが、むりやりすごい人を、ふたつに分けるとしたら、何をしでかすか見当もつかない常人離れしたアイディアが溢れるすごい人と、自分を持ちつつも他人のことを気遣い、それでいて周りの期待にしっかりと応え続けることのできる心(ハート)の強いすごい人がいる。吉田直樹さんは全くの後者だと思っている。素晴らしい采配のできるプロデューサーでありながら、コストと納期をコントロールできるディレクターであり、さらに経営者としての数字の組み立ても完璧。それでいて、私たちのことを気にかけてくれる気のいい兄貴分である。自分で言っていてなんだが、なんだこのいい男は。こんな同性からも異性からも尊敬されるような存在が、この世にいて、それが日本人で、かつ、自分たちと同じような年代(プラスマイナス5くらいかな?)という奇跡をわたしは目の当たりにしたかのようだ。インタビューは30分を超え、彼の子どもの頃のファミコンとの出会い、そして彼の代名詞でもあるオンラインゲームとの出会い。そして、ハドソンからベンチャー企業を挟み、そこで取引のあった、エニックスに拾われる形で、スクウェア・エニックスに入社。斉藤洋介さんに誘われる形で入ったと言うからなんだか運命めいたものを感じる。彼の凄さは、あらゆるところに気を使えるところだろう。そしてそれが無理なくこなされ、いつの間にか彼の周りに有能なスタッフが集まってくるというような人望の人だとお見受けする。しかも、インタビューの冒頭で、僕は全くのオリジナル作品を1から作ることが得意なクリエイターではなく、誰かの作ったブランドをさらに良くしていくことに特化したタイプの人間である、と自己分析しているところには心底驚いた。他人からの自分の評価を嫌がる人も多い中で、それを真正面から受け取り、それを覆そうと藻掻くわけでもなく、淡々とその事実を消化し、その上で自分に出来ることを愚直に、真摯に、誠実にこなして行くことのできる人は、他に居るだろうか?いや、全くゼロだとはいわないにしても。人は大抵の場合、他者からの評価を気にする。それはほとんど自己分析とはかけ離れている場合が多いからだ。そしてそれは必ずしも歓迎されるような好評価ではなかったりする。そのため多くの人がSNSから距離を置き、自らのテリトリーを必死に守ろうとする。ネットを迂闊に見てはダメだ。これは彼のような有名人だけではなく、芸能界で活躍する全てのタレントの鉄則である。誰も好き好んで、アンチコメントを見に行ったりはしないだろう。漫画家やアニメーターなどの、作品のバックヤード組である人々ですら、それらを好んで見られる人がどのくらいいるのだろう。あらゆるクリエイターは自画自賛することで自我を保とうとする。そして、過去の売上や、現在の役職にアイデンティティを求めようとする。そのため、大きな冒険をすることができなくなり、頭は固くなっていく。新しい感性やアイディアは枯渇して、どんどんと心の内部から枯れていく人も少なくない。それは、同じような歳であるわたしも少なからず身をもって体験しつつある事実ではある。人は寄せる年波には抗えないのだ。若さを保つこと。若さを保つ秘訣というのは、常に新しいことに挑戦していく気持ちを絶やさない人だ。新しいことはわからないことである。わからないことは、失敗の連続が多い。期待や数字といった尺度を気にしだした途端、それらの新しいことは余計なことに見えてしまう。だから手堅く、昔ながらの手法に頼ってしまう。それは惰性ではなく、ほぼ間違いなく、多くの人にとっての習慣である。そうやって心の安寧を保たなければ、心が疲弊して取り返しのつかい健康被害を引き起こすことだってある。そういうこれまで培った経験や知識が、危ない選択をしないよう、心のブレーキを思い切り踏むようになるのだ人間は。もちろん、選択なので、新しい方を選ぼうとすれば選べる。しかし、その後の苦労は目に見えているので、何故わざわざそんな苦難の道を行くのかと周りからは不思議がられるだろう。よしPもそれは理解していた。海外のインタビュアからはクレイジーだと指摘された新生エオルゼアの改修。それを成し遂げた時の溢れんばかりの新規加入者の肥大。そこからの名声ぶりは説明不要である。わたしは最初こそ吉田直樹さんというキャラクターを理解できなかった。チャラめの格好をした派手なオジサンという印象だったことを記憶している。それがいつの間にか、彼のことを尊敬し、敬愛し、大きな味方になろうとしているのだから、彼の持つテンパード化の力は侮れないと思っている。世界有数のオンラインゲームになったFF14。その世界はあらゆる人々のコミュニティの集合体である。メインクエはあるものの、それらはプレーヤー同士が体験する一種の共通言語だ。そこに惚れ込む人も多い。しかし、最も重要視されているのは、その世界を一緒に作り上げてきた数多のプレーヤー達の願い、希望、そして団結力であった。そのことを分かっているからこそ、前に出すぎない。締めるところは締める。けれど、基本的には放任する。その懐の広さこそ、わたしが吉田直樹さんに感じている気のいい兄貴分という印象に繋がっている。頼れる。そして底抜けにゲームが好きなオジサン。一緒に汗を流しながら遊んでくれる優しいオジサン。彼の用意する新しい世界はどんな世界だろう。わたしはいつしか、エオルゼアの新しい世界を旅しているようで、彼や、彼の仲間たちが作り出した夢の遊び場をじっくりと、そしてゆったりと楽しみながら歳を重ねられることの幸せを強く感じている。その共通点としてのオンラインゲーム。FF14。彼はこれからも関わってくれるだろう。彼がいなくなってたら?……ううん。そんなことは今考えることじゃない。もちろんそんな日もいつか来る。だけど僕達私たちが作り上げてきたコミュニティは彼の指示によるものではないはずだ。それなら。吉田イデオロギーさえ継承されてくれればこの世界は安泰だ。僕達私達の夢の世界として、半永久的に存在しうるだろう。わたしはそう確信しているし、どんな未来も受け取れるだけの心の余裕を持ち続けたい。そう思っている。

 

それじゃぁまたね(了)