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「ドラクエⅣ」ホイミンにまつわる疑問|ニフティニュース



ホイミンは夢を叶えたんだと思っていた。

小学生の頃にドラゴンクエストⅣをプレイしたわたし。第1章の王宮の戦士たちで登場するライアンは屈強な戦士である。戦士であるが若くはない。やや無骨なおじさん戦士である。それなのに鎧はピンク色……まあそこは言うまい。わたしはこのライアンというキャラクタが好きだった。無骨だがその分素直で、困っている人を放っておけない性格。鍛えられた剣の技術だけでモンスターに立ち向かっていくライアン。しかしそんな戦士のライアンであっても、敵から攻撃されれば傷つくし、傷つけば倒れてしまう。薬草は道具袋いっぱいに持っていくし、夜になれば無理せず城下町に戻って安い宿に休んで雨露を凌ぐライアン。力はある。だが、やはり回復手段の少なさが戦闘では致命的だ。敵が沢山やってくれば、いくらライアンが強くてもやられてしまう。そして、最序盤である第1章では、魔法使い系のモンスターは強敵だ。ダメージが多い。回復を優先しているうちに敵に囲まれて全滅という危険性もある。そんなとき、井戸の底で出会ったホイミン。見た目はホイミスライムそのもの。色は紫とかなり派手。どこから見てもただのモンスター。実際、街で連れていると怖がられてしまう。もっと言えば、無骨なおじさん戦士であるライアンと、ぷよぷよした紫のホイミスライムホイミン。そのミスマッチ感は凄まじい。きっとリアルにライアンとホイミンに出会ったら、わたしだったらそれを仲間と理解しない。ライアンがどこかの洞窟で捕獲したモンスターを奴隷として使役しているのだなと理解するだろう。そんなホイミンには夢がある。人間になる事だ。どうして人間になりたいのか?はわからない。けれども、人間に憧れているホイミン。そして、無骨なおじさん戦士のライアンは細かいことを気にしない。まして人の目なども一切気にしないのだ。だってピンク色の鎧だもの。そして、1人でなんのお供を付けずに隣町まで行くんだもの。そして、子どもが行方不明となっていることを知るや、人妻を連れて2人旅。もちろん道中で遭遇したモンスターからしっかりと護衛する紳士のライアン。なんという心優しき戦士。素晴らしい。だからわたしはライアンというキャラクターが、ドラゴンクエストⅣの中で1番好きだ。そしてあのテーマソング。寂しさが漂いつつも、それでいてどこまでも自由で、気持ちの良い風を感じながら草原を1人進むような軽快な音楽。素晴らしい。ずっと第1章で終わりたいと思うくらいに好きだった。そんな一人旅に突如加わるホイミン。もちろん、仲間にしないという選択もできる。しかし、回復手段に乏しいライアンにとって、回復を得意とするホイミスライムは最高のパートナーである。そして、ホイミンもまた、人間になりたいという純粋な心を持つキャラクターであった。だからホイミンとライアンが第1章の事件を解決したあと、どうなったのか。ライアンは勇者を探す旅をしていることは子どもの私でも理解していた。しかし、なぜ、そのお供に、ホイミンがいないのか?ここについては永遠の謎であったのである。小説版で語られているとはついに知らなかった。そして、第5章のキングレオの城で出会うホイミンという旅の吟遊詩人。なぜ、ホイミンは人間になれたのか?そして、なぜ、ライアンにそのことを報告しようとしないのか……。子どもながらにその謎についてなにか、深い事情があるのだなと思ってあまり詮索するのも良くないことなのではないかと思ったほどである。この記事の通りだとすると、きっとホイミンはライアンに辛い思いをさせたくなかったのだと思う。自分のせいでホイミンを死なせてしまったと思っているかもしれない。もし、自分がホイミンだと言っても人間の姿ではきっと信じて貰えないだろう。だからこそ、陰でライアンを見守っているホイミンマスタードラゴンに永遠の命を与えられ、導かれし者たちの戦いを記録するために生きるホイミン。ライアンに感謝の気持ちしかないからこそ、そっと身を引く健気さ。ライアンとのかけがえのない思い出があるからこそ、ライアンとの再会を望まないホイミンの奥ゆかしさ。ホイミンは性別的には男である。もしもそれが性別が違っていたらもしかしたらライアンの伴侶という選択肢もあったかもしれない。もちろん、同性であっても、パートナーとしてライアンの側に居るという選択肢もあったと思う。しかし、英雄でありながらも、いつか死んでしまうライアンと、永遠の命を与えられたホイミンでは時間の過ごし方がまるで違っているのも事実。だからこそホイミンはそっとライアンを見守ることにしたのだと私は思う。ドラゴンクエストはストーリーが素晴らしいゲームだ。わかりやすい勧善懲悪ではなく、人間くさい人生の教訓めいた話しが魅力である。特に、ドラゴンクエストⅣ、Ⅴ、Ⅵの天空シリーズと呼ばれた三本はその色が顕著だ。それはドラゴンクエストⅢで子ども時代を過したわたしにとって、青春時代の後に来るほろ苦さだったり、無常観そのものでもあった。まるで年齢を重ねた読者が、ジャンプからヤングジャンプに移行するかのように。いつか、ライアンの寿命が尽き、天に召される時が来る。その時にはきっと、ホイミンは駆けつけるだろう。最期を看取るためにライアンのその手を取り、ホイミンはライアンに感謝していますと伝えるのだ。ライアンはその時どんな顔で眠りにつくのだろう。ホイミンはどんな顔でそれを見送るのだろう。わたしはその事についてきっといつまでも考えてしまうに違いない。ありがとう、ドラゴンクエストⅣ。ありがとうライアンとホイミン……。

 

それじゃぁまたね(了)