ムジカのぶろぐ。By @ryoushitsu

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北島三郎とエド・シーランの合体、藤井風『まつり』 - kansou



藤井風さんの新曲「まつり」は、メッセージソングだ。

 

   「まつり」と聞いて連想する事柄は何だろう。まずは地域のみんなで参加して気兼ねなく踊り、歌い、盛り上がる地域一体となるための「お祭り」だと思う。もうひとつはSNSで炎上する「祭」。これはあまりいい意味合いはない。同じSNSで盛り上がる祭なら、推しに関する話題が供給されることによって気分が高揚する、もしくは分かりやすく「アガる」という状態をそう呼ぶ。まさに祭のいい例だろう。そういう祭ならわたしは好きだ。だが、藤井風さんの新曲「まつり」はそのどれもと違っている。

 

   盛り上がりたいという気持ちを感じないわけではない。むしろワクワクするような気持ちがする。それは自由な風だ。和を感じさせるメロディ、そこに軽めながらもしっかりと低音を感じさせるリズムが絡んでゆく。この曲のいい所を上げるなら、Aメロからサビに繋ぐブリッジが秀逸である。ジャジーなコード感が吹き抜ける風=浮遊感をしっとりと演出している。そこからサビになだれ込むリズム感が心地よい。サビは敢えて静かだ。リピートされるメロディは静かに繰り返され、耳をくすぐる風のようである。そう、風だ。藤井風さんは新たなスタンダードナンバーの風を吹かしている。

 

   藤井風さんの曲は基本的にシンプルだ。それ以上でもそれ以下でもない。そこに耳を撫でるようなジャジーコードが大人の香りを漂わす。しかし、それを軽やかに歌い上げる藤井風さんは少年のように笑う。おどけたような笑みをたたえながら。踊る姿も軽やかだ。そのクリエイティブとパフォーマンスの2つの温度差がアンバランスになって、聞いている人を魅了する。藤井風さんの魅力はまさにそこにあると私は思っている。

 

   藤井風さんは、日本を見ていない。見ている世界はアジアのように思う。その先の世界を見ている。ただし藤井風さんは日本人であることを忘れていないように見える。そのバランス感覚が、世界に認められる要因だろう。世界で認められる最も分かりやすい才能は、オリジナリティである。それはスマートで、キュートである。ハイトーンボイスがフェミニンであり、見た目は男性的な魅力がある。その魅力に取り憑かれている人が世界中にいることも頷ける。

 

   曲の良さを言葉で説明することは難しい。なぜなら音楽は聞いて感じるものだからだ。感じ方は人それぞれでいい。好きな人がいて、嫌いな人がいてもいい。ネットで騒がれていることもわかる。だが肯定的な意見も否定的な意見も認められるべき意見だ。個人的には意見が異なる相手を説き伏せることはナンセンスと思っている。意見は違うことは認められるが、その一方でどちらかの意見だけを採用してどちらかの意見をもみ消すことはナンセンスの極みである。だから今回の藤井風さんの「まつり」はいい曲だ。歌詞もメッセージ性に富んでいる。風を感じるサウンドは唯一無二のもので、世界を見渡しても彼にしかないものになりつつある。わたしはこの曲が好きである。

 

それじゃぁまたね*˙︶˙*)ノ"


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